離婚の基礎知識③ ~離婚の種類~
2017.02.20離婚に向けて進めていくうえで、まず最初に「自分は離婚したいのか、したくないのか。」「相手は離婚したいのか、したくないのか。」というお互いの気持ちをしっかり把握する必要があります。
なぜならば、お互いの気持ちが一致しているのか否かで、手続きの進め方が大きく変わってくるからです。
自分もパートナーも離婚したいと考えている場合は、法律上の離婚原因(民法第770条第1項)
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
は必要とされないので、どのような理由であっても離婚の合意があれば離婚できます。
この場合、離婚に向けて、慰謝料、財産分与、親権、養育費などの問題について、夫と妻という当事者同士が話し合いを進めていき、合意することができれば離婚ということになります。
このように夫婦の話し合い・合意によって成立する離婚が「協議離婚」です。
一方、自分は離婚したいと思っているのに、相手は離婚したくないと思っている場合など、どちらかに離婚の意志がない場合は、離婚したいと思っている側は、そうでない側を何とか説得するように試みるわけですが、夫婦だけの話し合いが合意に至らないときは、家庭裁判所に「調停」を申し立てることになります。
この調停で合意することができれば「調停離婚」が成立します。
調停の場で夫婦双方の意見がまとまらず、調停が不成立になった場合でも、家庭裁判所が相当と求めたときに、審判という形で離婚に関する判断をすることができます。この審判による離婚を「審判離婚」といいます。
調停でも合意できず、裁判所からの審判もなければ、最後の手段として裁判に訴えることになるわけですが、裁判所の判決によって離婚が決まるのが、「裁判離婚」です。
なお、協議離婚ができなかったといって、調停という段階を踏まずに、いきなり裁判離婚に持ち込むことはできません。裁判離婚を提起する前に、必ず調停を行うことが必要となります。
<離婚の種類>
①協議離婚
夫婦双方の合意により離婚が成立するもの
②調停離婚
家庭裁判所において夫婦双方が離婚することに合意すれば、調停の期日に 調停合意というかたちで離婚が成立するというもの
③審判離婚
離婚調停が成立する見込みがないときに、家庭裁判所が離婚の審判を下すというかたちで、離婚を認める判断をするもの。離婚の審判が下されても夫婦どちらかが異議を唱えれば効力は失われてしまうので、実際にはあまり利用されていない。
④裁判離婚
裁判による判決をもって離婚するというもの。
離婚訴訟は、まず離婚調停をした後でなければすることができず(調停前置主義)、かつ、民法770条に定める理由がなければ離婚することは出来ない。
判決に不服であれば、家庭裁判所から高等裁判所に控訴、最高裁判所に上告できる。
次回以降、それぞれの離婚について、詳しくご説明いたします。