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離婚の基礎知識⑲ ~財産分与について その3~(財産分与の手続き)

2017.11.20

    財産分与の手続きは、当事者の話し合いによるものと裁判所を利用したものに分けられます。

(1)当事者の話し合いによる財産分与

    財産分与は一般的に、協議離婚と並行して進められます。最終的に双方が合意に達すると、財産分与の合意内容を盛り込んだ「離婚協議書」を作成します。財産分与は書面がなくても有効に成立しますが、後日の紛争を防止するために書面を作成するのが一般的です。

   また、全額一括で支払われる場合は不要ですが、財産分与を分割払いにする場合には、これらの協議書を「公正証書」にしておくと、より安心です。

(2)裁判所を利用した財産分与

    当事者で協議がまとまらない場合、離婚前であれば、家庭裁判所の離婚調停のなかで財産分与も話し合うことができます。調停で決着がつかない場合には、家庭裁判所の審判となる場合もありますが、通常、審判は行われずに離婚裁判を起こすことになります。

    一方、先に離婚して後から財産分与の協議を始めたものの、話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。それでも決着がつかない場合は、審判手続に移行します。

≪調停の申し立て≫

 財産分与を求める調停を申し立てることができるのは、離婚をする又は離婚をした夫、又は妻です。財産分与の調停の申立ては、管轄の家庭裁判所に「財産分与請求調停申込書」を提出して申し立てます。

〇添付書類

・離婚時の夫婦の戸籍謄本

・夫婦の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳写し又は残高証明書等)

〇申し立てに必要な費用

・収入印紙1200円分

・連絡用の郵便切手(500円から1000円程度)

(3)手続中の財産の保全

    財産分与の手続中に、相手が勝手に不動産を処分したり、預金を隠してしまうおそれがあります。

   そこで、まだ具体的な財産分与額が決まっていない手続途中の段階で、裁判所に相手方に対して財産の処分をしないように命令してもらうことができます。

   その命令にはいくつかの種類があります。まず、調停または審判の手続中における命令を「審判前の保全処分」と言います。これには強制力があります。

    もう一つ、調停や審判が申し立てられていない場合でも、裁判所に売買禁止などの仮処分を申し立てることができます。この申立てをするには、担保が必要になるため、よほどの必要性がない限り利用しないのが一般的です。



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