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離婚の基礎知識⑧ ~裁判離婚 その1~

2017.03.27

 夫婦の間での話し合い(協議)によっても離婚の話がまとまらず、離婚調停が不成立に終わり、家庭裁判所からの審判も下されなかった場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起して、裁判ということになります。

 この離婚を争う裁判を「離婚裁判」といい、ここで成立した離婚が「裁判離婚」です。

①調停を行ったが、離婚の合意に至らなかった場合

②夫婦の間で離婚については合意しているが、財産分与や親権の問題などで、両者の意見が合わない場合

③夫婦の間で離婚の合意はあっても、相手方の主張する離婚原因に納得できず、自分の主張する離婚原因によって離婚を求める場合

                   

 裁判で離婚を争うには、民法第770条に規定する「離婚原因」が必要になります。(この「離婚原因」については、次回の投稿で詳しくご説明します。)

  裁判離婚では、夫婦間の合意がなくても裁判所が判決によって強制的に離婚を成立させることができます。つまり、調停とは異なり、夫か妻のどちらかに異論があっても最終的に離婚するかどうかの決着がつくのです。

  訴訟を起こすなら必ず弁護士をつけなさいと法律で規定されているわけではないので、弁護士を立てず自分自身で裁判に挑むことは可能ですが、離婚裁判となれば、訴状などの法的書面を作成し、相手方の法的な主張を理解して適切な反論を行う必要があるなどかなり専門的な知識と技術が必要ですから、その専門家である弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。

          

離婚裁判を担当する裁判所については、

①夫婦が共通の住所を有しているときは、その住所地を管轄する家庭裁判所

②夫婦が別居中の場合、夫婦が最後に一緒に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内に、どちらか一方が住んでいるときは、その住所地を管轄する家庭裁判所

③夫婦が別居中の場合、夫婦が最後に一緒に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内にどちらも住んでいないとき、または最初から共通の住所を有していないときは、どちらか一方の住所地を管轄する家庭裁判所

となっています。

離婚の訴えを提起するときは、

・訴状

・決められた額の収入印紙

・連絡用の郵便切手代

・夫婦の戸籍謄本(全部事項証明)

・調停(不成立)調書謄本または調停不成立証明書

を管轄する家庭裁判所に提出します。

 収入印紙の額は、離婚請求のみの場合は13,000円ですが、慰謝料の請求を含む場合はその請求金額によって細かく決められています。

 訴状が受理されると、その後、裁判が行われる期日(口頭弁論日)が決定され、離婚訴訟の相手にあたる配偶者(被告)に訴状が送られます。

 訴状を受けた被告は、訴状に記載されている請求の趣旨や請求の原因に対する認否や反論などを記載した答弁書を提出します。

第1回口頭弁論日は、訴えの提起から30日以内となっており、その後1カ月に1回程度のペースで公開で法廷が開かれます。

 法廷では、訴状と答弁書がそれぞれ読み上げられ、裁判所が焦点を整理して、夫婦それぞれに反論があれば提出するように指導します。このような口頭弁論を何回か繰り返して、焦点が煮詰まると、証拠調べとなります。

 これが裁判において一番重要な部分です!

 証拠調べの後は、不貞の相手である人物の証人喚問が行われ、最後に原告と被告の本人尋問が行われます。

 そして、離婚を認めるか、認めないかの判決が下されます。

 一審の判決に不服があれば、控訴することができ、二審判決にも不服があれば、さらに上告もできます。

 調停開始から裁判で決着がつくまで、おおよそ1年程度かかります。

 相手が離婚原因を全面否定している場合などは長引く可能性が高く、2年近くかかることもあります。

                 



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