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離婚の基礎知識㉓ ~養育費について その1~

2018.03.30

 養育費とは、厳密に定義された法律上の用語ではなく、監護権を持たない親から監護権を持つ親に対して支払われる未成熟子の養育に関する費用です。
 離婚したとしても子供にとっては父であり母であることにかわりはないため、子供には扶養を受ける権利があり、親には子供を育てる扶養義務があります。
 未成年の子供に対する親の扶養義務は「生活保持義務」と言い、例え生活が苦しくても子供には親と同等の生活をさせなくてはならない義務とされています。
 この「生活保持義務」は、離婚で親権を失っても、また離婚後に面会するかしないかに関わらず免除されることはなく、主に「養育費」という形でこの義務を果たすことになります。
「失業した」、「ローンがある」「生活が苦しい」などと経済的な余力がないので養育費は払えないと主張したとしても免れることはできず、自らの生活のレベルを落としてでも支払う義務があるのです。

       

 夫婦の間に未成年の子供がいる場合、養育費は離婚の際に夫婦で話し合って取り決めておかなければならない最重要事項の一つです。
 調停離婚の場合、養育費に関する取り決めを当事者夫婦双方の合意内容として盛り込んで離婚を成立させることが普通なので良いですが、協議離婚の場合は、「養育費の取り決めをしなければ離婚が認められない」というわけでないので、養育費についての取り決めが後回しになったり、協議の際に感情的になり「子供は自分一人で育てる」という気持ちから、養育費の取り決めをしなかったといったケースが生じかねません。
 しかし、実際に子供を養育していくには、衣・食・住・教育・習い事・趣味レジャー・医療費・その他の様々な費用がかかり、決して少額ではありません。さらに、病気など「想定外の出費」が必要になる場合もあるので、養育費を軽視するのは良くありません。
 さらに、養育費は過去に遡って請求することはできますが、過去どの時点まで遡ることができるか(養育費分担義務の始期)が問題になり、審判例は、支払請求時以降の養育費に限って認めようとする傾向が強く、事実上の請求時、調停申立て時、審判申立て時の限度で遡ることを許容する例が大勢を占めていますので、離婚時に遡っての養育費は支払ってもらえない可能性が高いと思われます。
 ですから、養育費については、離婚の際にしっかりと夫婦で話し合って取り決めておくことが必要なのです。

      

①夫婦間での協議

 離婚の際に、夫婦間での協議により定めることは可能です。この場合には、支払期間が長期に及ぶ養育費の履行を確保するために「強制執行認諾文言付公正証書」を作成することが望ましいと思います。

②調停・審判

 当事者間で協議が出来ない場合には、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立て、調停で合意したならば調停調書が作成されます。
 調停が成立しない場合には、審判に移行します。

③裁判

 離婚を求める裁判において、附帯して離婚後の養育費の附帯申立てをすると、離婚を求める判決の時に、監護費用の支払いの決定を受けることができます。



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