離婚の基礎知識㉘ ~公正証書について~

2018.07.29

 公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が当事者の申し立てに基づいて作成する公文書です。

 公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家であり、準公務員という扱いになります。

 公正証書は、そういう専門家が立ち会って作成した文書なので、法律的に信用性が格段に高いものとして扱われます。

 公正証書は、協議離婚の際に作成します。

 内容としては、主に①親権者、②財産分与、養育費、慰謝料、年金分割など財産に関する事項を定めます。

 重要なのは、約束通りにお金を払ってくれない場合に備えて、不払いがあったら直ちに強制執行ができる旨を定めておくことです。そうしておけば、裁判を起こして判決をもらわなくても直ぐに差し押さえなどの強制手段をとることができるのです。これを「公正執行認諾文言付公正証書」と呼びますが、財産を受ける側にとって非常に重要な意味を持つものです。

 この他、離婚届けはどちらが提出するのかといったことや、「期限の利益喪失条項」を定めておいて、以後、両者の間で一切なにも請求できないようにして、できるだけ当事者間で離婚後、紛争が起こらないようにします。逆に「別途協議する」といった曖昧な言葉をいれてしまうとせっかく公正証書を作成しても強制手段が取れなくなるなど、効力を弱めてしまうことがあるので注意が必要です。

           

「公正証書を作成するのは難しそう」と思われるかもしれませんが、実際はさほど難しくありません。

 当事者間で取り決め作成した文書(離婚協議書等)を公証役場に持って行きます。全国に約300箇所あるので、どちらの公証役場に行ってもかまいません。作成した文書と、夫婦それぞれの印鑑証明が必要です。

 その後、公正役場から作成した原案がFAX等で送られてきますので、間違いがないかチェックし、修正があれば連絡して訂正します。

 訂正が無ければ又は訂正完了の連絡を受けたら、当事者が揃って公証役場に行きます。本人確認のための証明書(運転免許証や保険証など)が必要です。

 完成した証書が読み上げられるので、双方ともに内容を確認し署名捺印します。

 原本は公証役場に保管され、それぞれに謄本が渡されることになります。

 作成費用は、財産分与の額などによって違うのでケースバイケースですが、通常は1万円から3万円程度となります。公証役場や、記載する内容によって、手順やかかる金額が違いますので、お近くの公証役場の窓口にて確認してください。

 なお、公証役場は静岡県内に8ヶ所あります。詳しくは当サイト「リンク集」→「日本公証人連合会」をご覧ください。

          

          



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